避妊や生理痛・生理不順などの緩和に用いられるピルは、主成分である2つの女性ホルモン(卵胞ホルモン・黄体ホルモン)が働くことで効果を発揮します。
基本的には長期服用をしても問題がなく、風邪薬や頭痛薬といった市販薬、サプリメント等との併用も可能です。
しかし、加齢とともに体に変化が現れると、これらの女性ホルモンが悪い影響を及ぼすことがあります。
では、ピルは何歳まで飲むことができるのでしょうか?ピルをやめる年齢とやめるべき理由について説明します。
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ピルは何歳まで飲める?やめる年齢は
体質や服用する理由を問わず、ピルは50歳までにやめるのが一般的です。
閉経の平均的な年齢が50~51歳とされているので、生理が終わると避妊や生理痛、月経困難症のために服用する必要がなくなるというのも理由のひとつですが、それ以上に体へのリスクを考慮して50歳までにやめるべきと考えられています。
ピルを50歳までにやめるべき理由
ピルを50歳までにやめるべき理由は、ピルの重大な副作用である血栓症のリスクが高まるためです。
ピルに含まれる卵胞ホルモンは血液凝固機能に影響を与えるため、血栓症のリスクを高めるおそれがあると考えられており、40歳以上になるとそのリスクはさらに高まる可能性があります。
そのため、遅くても50歳までにはピルの服用は注視する必要があるのです。
これは低用量ピル、中用量ピルどちらにも当てはまります。
40歳以上の女性も慎重な判断が必要
遅くても50歳までに服用をやめるべきピルですが、添付文書では「40歳を過ぎた時点で慎重に投与するか判断すべき」と警告をしています。これは、低用量ピル・中用量ピル共通です。
40歳以上の女性は身長投与すべき理由は、加齢とともに血栓症のリスクが高まることと、一般に心筋梗塞等の心血管系の障害が発生しやすい年代に差し掛かるためです。
ピルを処方するクリニックでは、通常、6か月ごとに定期検診を行うことで体の変化について把握し、トラブルが起こらないようにしていますが、自身でも体の変化を感じたら、不安を1人で抱えずにこまめに相談するようにしましょう。
検査をしても特にがなければ、40歳以降も安心してピルを服用できます。
40代のピルの服用は、更年期障害や骨粗しょう症などの予防にもつながります。
喫煙・肥満などのリスク因子によってはより早い年齢でやめることも
ここまでの説明の通り、ピルの服用をやめるかどうかについては、40歳以上から考え始めるのが一般的です。
しかし、生活習慣や体質などによっては、リスク因子とみなされ、より早い年齢でピルの服用をやめるケースもあります。たとえば、次に該当する場合です。
- 喫煙
- 肥満
- 子宮筋腫がある
- 血栓症の家族歴を持つ
- 前兆を伴わない片頭痛がある
- その他、持病がある
低用量ピルの場合、35歳以上で1日15本以上の喫煙者はピルを飲むことを禁じられています。ピルを服用したい場合は、先に禁煙しなければいけません。
これらに該当する人が40歳未満であっても慎重に投与しなければならない理由も、血栓症や心筋梗塞等のリスクを減らすためです。また、リスク因子の有無にかかわらず、次のような症状が現れた場合も年齢を問わずピルの服用をやめる必要があります。
- 下肢の疼痛
- 腫脹(身体組織の一部が腫れ上がる)
- しびれ
- 発赤(皮膚が赤くなる)
- 熱感
- 頭痛
- 吐き気、嘔吐
これらは血栓症が疑われる症状とされています。
さらに、次に該当する場合は緊急対応を要する血栓症の主な症状の可能性があるため、年齢を問わず直ちにピルの服用をやめなければいけません。
- 下肢の急激な疼痛
- 腫脹
- 突然の息切れ
- 胸痛
- 激しい頭痛
- 両手と両足の脱力
- 麻痺
- 構語障害(声が出ない、はっきりと発音できない、ろれつが回らない等)
- 急性視力障害(数分~2日以内に急に眼が見えにくくなる)
このほかにも急な症状が出た場合は、かかりつけの婦人科医に相談し、適切な処置を受けてください。