初めてピルを飲む前に、ピルにはいくつかの種類があり、それぞれに効果・飲み方が異なることを理解しておきましょう。
そうすることで、より安全にピルを服用することができます。
始めてピルを服用しようと思っている人には不安がつきものです。
ここでは初めてピルを飲む方に、ピルの種類と選び方の目安について説明します。
Contents
中用量・低用量・超低用量ピルの違い
ピルとは、女性ホルモンの卵胞ホルモンと黄体ホルモンが主成分として含まれている錠剤タイプの薬のことです。1錠中に含まれる卵胞ホルモンの量によって、次の4つのタイプに分けることができます。
- 0.05㎎より多い:高用量ピル
- 0.05㎎:中用量ピル
- 0.05㎎より少ない:低用量ピル
- 0.03㎎より少ない:超低用量ピル
この中で、最も歴史が古く、卵胞ホルモンを多く含有するのが高用量ピルですが、副作用のリスクの高さから、今では処方されることはほとんどありません。
現在は中~超低用量ピルが中心に服用されているので、この3種類の違いについて説明しましょう。
中用量ピル(プラノバール、ルテジオン、ソフィアAなど)
中用量ピルは、主に婦人科系の病気の治療を目的に使われます。一方で、副作用のリスクの観点から避妊を目的に使用されることは少ないです。
- 月経困難症
- 稀発月経(生理周期が39日より長い)
- 頻発月経(生理周期が24日より短い)
- 過多月経(経血の量が多い)
- 子宮内膜症
- 卵巣機能不全
月経困難症は、生理の直前~生理開始にかけて下腹部などの症状が現れ、生理の終わりとともに症状も消えるのが特徴です。
低用量ピル(アンジュ、トリキュラー、マーベロンなど)
ピルといえば「避妊のための薬」という印象を強く持つ女性が多いかと思いますが、実際に避妊目的に使用されるのは、こちらの低用量ピルであるケースがほとんどです。
また、避妊目的のほかにも生理痛や月経不順、PMSの緩和や女性特有の病気の予防などに用いられます。
超低用量ピル(ヤーズ)
超低用量ピルも、中用量ピルと同様に月経困難症の治療に使われる薬です。ただし、中用量や低用量ピルと比べて休薬期間が短く、ホルモンの変動が少ないことからホルモン消退時に頭痛や下腹部が起こりにくくなるとされています。
また、超低用量ピルは避妊目的には使用できません。
始めて低用量ピルを飲む場合の選び方
種類の多さと効果の幅広さから、特に服用されることが多い低用量ピルは、さらに細かく分類することができます。
いずれも避妊効果や生理に関する悩みの改善に適していることは共通していますが、使用感やプラスアルファの効果を知ることで、より自分に合った低用量ピルを選ぶことができます。
第1世代~第3世代の違い
低用量ピルに使用される黄体ホルモンは種類と開発順によって、第1世代~第3世代に分類することができます。最も歴史が古いのは第1世代で、第4世代には超低用量ピルのヤーズが該当します。
- 第1世代(ルナベル、フリウェルLDなど):生理痛の緩和や経血量の減少に優れた効果を持つが、黄体ホルモンの量が多め
- 第2世代(トリキュラー、アンジュなど):黄体ホルモンの量が少なく不正出血が起こりにくいが、男性化症状や体重増加が現れやすい
- 第3世代(マーベロン、ファボワールなど):ニキビ改善に向いており、男性化症状や体重増加が起こりにくいが使用実績が少ない
たとえば、避妊したいけど体重増加や心配という場合は、第3世代が向いている可能性があります。
ピルを飲み始めたころに起こる不正出血は、ある程度は仕方がないものですが、それでもなるべく可能性を減らしたいのであれば第2世代を選ぶのもひとつの手です。
低用量ピルの相性の違い
低用量ピルには、女性ホルモンの配合比率が一定している1相性(マーベロン、ルナベルなど)と、配合比率が3段階に分かれる3相性があります。
- 1相性:マーベロン、ファボワール、ルナベルなど
- 3相性:トリキュラー、ラベルフィーユ、アンジュなど
服用中に体調の変化が起こりにくいのは、1相性ピルです。一方で、3相性ピルには不正出血が起こりにくいというメリットがあります。
また、初めての人でも飲み方が比較的分かりやすいのは、成分量に変動がない1相性ピルです。
3相性ピルは週ごとに成分量が変わるため、飲み間違えには特に注意が必要です。
ただし、3相性ピルはには飲み間違えを防ぐために錠剤の色を変えるといった工夫がされているので、初めて飲む人もすぐに慣れることでしょう。