ピルは薬局やドラッグストアで購入できないので、婦人科・産婦人科の診察を行う病院やクリニックで処方してもらわなければいけません。
しかし、婦人科に通院をしたことがなかったり、通い慣れていなかったりする人は、診察の流れがどのようなものか不安になることでしょう。
そこで、「ピルを処方してもらうのに内診は必要なのか?」といった、診察の内容について解説します。
Contents
ピルを初めて処方してもらう場合の診察の流れ
ピルを処方してもらうときの診察の流れは、病院やクリニックによって多少の違いがあります。ここでは、ひとつの目安として大まかな流れを紹介します。
問診
問診ではピルを服用する目的を聞かれたり、問診票に必要事項を記入したりします。また、年齢や健康状態、生活習慣などを確認し、ピルを服用しても問題ないかを判断します。
たとえば喫煙している女性がピルを服用すると、血栓症のリスクが上がるので、年齢や1日あたりのタバコの本数によっては服用できないことがあります。
また、前兆がある片頭痛持ちの女性がピルを服用すると脳卒中などのリスクが高まるため、ピルを処方されないケースも少なくありません。40歳以上の女性は、心筋梗塞等の心血管系の障害のリスクを高めるおそれがあることから、服用について慎重に判断する必要があります。
体重測定・血圧測定・採血
肥満の女性がピルを服用すると、血栓症など心血管系の障害のリスクが高まることがあるため、体重測定を行います。
高血圧の女性によるピルの服用は、禁忌として固く禁じられているため、血圧測定も必要です。
また、血栓症になりやすい体質であるかなどを確かめるために採血も行います。
ピルの服用に関する説明
問診や各種検査でピルの処方に問題がなかった場合、ピルの飲み方や副作用などに関する説明を受けます。ここまでの一連の流れを終えて、初めてピルが処方されます。
ピルの服用にあたり、不安や疑問がある場合は、ここでしっかり聞いておきましょう。
ピルの処方に内診は必要?
ピルを処方してもらうために初診を受ける際、一番気になるのは内診を受けるかどうかではないでしょうか。
結論から言うと、ピルの処方では基本的に内診の必要はありません。ただし、次の場合は婦人科系の病気の有無を確認するために内診を行うことがあります。
- 不正出血(生理中ではないのに性器から出血がみられる)
- 月経困難症(生理前~開始時に腹痛などの症状が起こる)
- 過多月経(生理の出血量が極端に多い)
月経困難症や過多月経の場合は、エコー検査を受けることもあります。
2回目以降のピルの処方の診察(再診)
実際にピルを飲んで特に問題がなかった場合は、初診ほど細かな説明を受けず、スムーズに処方してもらえます。
体重測定や血圧測定については、再診のたびに実施するのか、6か月に1度に実施するのかなど、病院やクリニックによって頻度が異なるので、事前に確認しておくと良いでしょう。
定期的な婦人科検診を義務付ける場合も
多くの病院やクリニックが、ピルの服用後に半年~1年に1回程度の婦人科検診を義務付けています。
婦人科健診では、性感染症の感染有無や子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣腫瘍、子宮がん、子宮頸がんなどの病気の有無などを確認します。これら婦人科系の病気に関する検診には、内診を受ける必要があります。
このほか、血液検査で血栓症のリスクが高まっていないかなどを確認するケースもあります。
「手間がかかる」「内診を受けるのが怖い」と考える女性もいるかと思いますが、病気の早期発見や副作用のリスク低下につながるというのは、大きなメリットです。
最近では、他院で検査を受けても良いとする病院やクリニックも少なくありません。忙しい女性は、ピルの処方は自宅の近くの病院で、検診は職場の近くで…というように柔軟に使い分けると良いでしょう。
生理中に診察を受けてもピルを処方してもらえる?
初診の場合、生理中に体重測定や血圧測定、採血などの検査を受けても正しい結果が出ない可能性があります。
そのため、生理中の診察はおすすめできません。
ピルは生理開始日~5日目に飲み始めるので、生理周期が安定しているのであれば生理前に診察を受けるのがおすすめです。
生理前の受診が難しい場合も、安全にピルを服用するために生理が終わってから診察を受けましょう。
同様に、ピル処方後の定期的な婦人科検診も、生理中は受けられないケースがほとんどですので注意してください。
ピルの処方や診察にかかる料金について
自費診療で初めてピルを処方してもらう場合、薬の料金だけでなく、初診料や検査料金がかかります。初診料は1,000円前後が相場で、これに検査料金を加算すると、おおむね3,000~4,000円台になります。
ただし、自費診療は病院やクリニックによって値段はさまざまなので、初診料がかからないケースもあります。ピルの料金も種類や病院・クリニックによって変わるので、1シート2,000~3,000円台が相場とみておきましょう。
再診の場合は、再診料や処方料がかかります。いずれも数百円ほどで、合わせても2,000円以内におさまることがほとんどです。また。再診料や処方料がかからないケースもあります。
ピルを処方してもらう婦人科を選ぶ際には、こうした費用の違いも比較してみると良いでしょう。