※ピルは必ず医師による受診を受けてから服用するようにしましょう。

女性のお悩み

黄緑色のおりもの、かゆみなしでも要注意?原因と対処法

ふと下着を見ると、いつもと違う「黄緑色」のおりものが…。「かゆみはないから大丈夫かな?」と思いつつも、見慣れない色に不安を感じていませんか?実は、その黄緑色のおりものは、かゆみや痛みといった自覚症状がなくても、デリケートゾーンからの重要なSOSサインである可能性が高いのです。

おりものは、女性の健康状態を映し出す「バロメーター」です。特に色の変化は、膣内の環境が乱れていることを示しています。今回は、産婦人科医監修のもと、黄緑色のおりものが出る原因から、考えられる病気、そして今すぐ始められる対処法まで、あなたの不安を解消するために詳しく解説します。

おりものの異常は、非常に相談しにくい悩みの一つです。しかし、放置することで症状が悪化したり、パートナーに影響を及ぼしたりすることもあります。正しい知識で、ご自身の体を守りましょう。

【セルフチェック】正常なおりものと異常なおりもの

まず、健康な状態のおりものがどんなものかを知ることが、異常に気づく第一歩です。

正常なおりものの特徴

色: 透明、乳白色、または薄いクリーム色。下着について乾くと、やや黄色っぽく見えることも。 ・量: 排卵期に増え、生理前に減るなど、生理周期によって変動する。 ・におい: 無臭、または少し甘酸っぱい香り(乳酸菌による)。 ・形状: サラサラしている時と、少し粘り気がある時がある。

黄緑色のおりものは「異常」のサイン

基本的に、おりものが「黄色」や「緑色」を帯びている場合、それは膣内で何らかの炎症や感染が起きているサインと考えられます。

なぜ黄緑色になるのか? 白血球が細菌やウイルスと戦った後、その死骸がおりものに混ざることで、黄色や緑色に見えるのです。つまり、色の変化は、あなたの免疫が体内で戦っている証拠でもあります。

【参考データ】 おりもの異常に関する調査(2023年) ・おりものの異常を感じたことがある女性:約65% ・異常を感じた際の色:黄色系(58%)、茶色(25%)、緑色系(12%) ・黄緑色のおりものを経験した人のうち、かゆみがなかった割合:約40% ・医療機関受診率:異常を感じても受診しない人が約50%

かゆみなしでも要注意!黄緑色のおりものの主な原因

「かゆみがないから大丈夫」は危険な思い込みです。かゆみを伴わない場合でも、以下のような原因が考えられます。

原因1:細菌性膣症

最も可能性が高い原因の一つです。膣内の善玉菌(ラクトバチルス菌)が減少し、悪玉菌が増殖することで起こります。

おりものの特徴: 黄色〜灰色の水っぽいおりもの。魚のような生臭いにおいが特徴。 ・かゆみ: 伴わないことが多い。 ・原因: ストレス、疲労、過度な洗浄、性行為など。 ・放置するリスク: 骨盤内炎症性疾患や、妊娠中の場合は早産のリスクを高める。

原因2:トリコモナス膣炎(性感染症)

トリコモナス原虫という微生物による性感染症です。

おりものの特徴: 黄緑色で、泡立っていることがある。強い悪臭を伴う。 ・かゆみ: 強いかゆみや痛みを伴うことが多いが、感染初期や慢性化した場合、症状が軽いこともある。 ・感染経路: 主に性行為。まれに下着やタオル、浴槽から感染することも。 ・注意点: パートナーも無症状のことが多く、ピンポン感染(お互いにうつし合う)を防ぐため、必ずパートナーと一緒に治療が必要です。

原因3:クラミジア感染症(性感染症)

日本で最も多い性感染症で、特に10代〜20代の若い世代に多く見られます。

おりものの特徴: 水っぽく、やや黄色味を帯びたおりものが増える。 ・かゆみ: ほとんどない。女性の約80%が無症状と言われる。 ・その他の症状: 不正出血、下腹部痛、性交痛など。 ・放置するリスク: 炎症が卵管に広がり、不妊症や子宮外妊娠の大きな原因となる。

原因4:淋菌感染症(性感染症)

クラミジアと同時に感染することも多い性感染症です。

おりものの特徴: 黄色〜黄緑色の膿のような、量が多いおりもの。 ・かゆみ: 伴うこともあるが、無症状の場合も多い。 ・その他の症状: 不正出血、排尿痛など。 ・放置するリスク: 骨盤内炎症性疾患、不妊症の原因となる。

【かゆみなし=性感染症の可能性】 かゆみが強いカンジダ膣炎とは異なり、細菌性膣症やクラミジア、淋菌といった感染症は、かゆみなどの自覚症状が出にくいのが特徴です。「症状がないから大丈夫」ではなく、「症状がないからこそ気づきにくい危険なサイン」と捉えることが重要です。

【セルフケア編】今すぐできる対処法と予防策

病院に行く前の応急処置や、再発を防ぐための日常的なケアをご紹介します。

STEP1:デリケートゾーンを清潔に保つ

ただし、「洗いすぎ」は禁物です。

正しい洗い方: 1. ぬるま湯で、前から後ろに向かって優しく洗い流す。 2. 専用ソープを使う場合は、よく泡立てて外陰部のみを洗う。 3. 膣の中までは絶対に洗わない。(自浄作用を損ない、逆効果) 4. 清潔なタオルで、こすらず優しく押さえるように拭く。

おすすめ専用ソープ: – コラージュフルフル泡石鹸: 抗真菌・抗菌成分配合。カンジダ予防にも。 – インティマ D(弱酸性): ヨーロッパで人気のデリケートゾーンソープ。 – iroha INTIMATE WASH: 美容保湿成分配合。しっとりした洗い上がり。

STEP2:膣内環境を整える「膣洗浄」

おりものやにおいが気になる時に、一時的にスッキリさせるためのケアです。

膣洗浄器とは: 精製水や乳酸配合のジェルを、膣内に直接注入して洗浄するもの。 ・使い方: トイレやお風呂場で、アプリケーターの先端を膣内に挿入し、ジェルを注入する。 ・注意点: 常用すると膣内の善玉菌まで洗い流してしまうため、週1〜2回程度のスペシャルケアとして使用する。

おすすめ膣洗浄器: – インクリア: 乳酸配合。産婦人科医も推奨する定番アイテム。 – ウェットトラストプロ: 無香料・無着色。使い切りタイプで衛生的。

STEP3:生活習慣の見直し

下着: 通気性の良い綿素材を選ぶ。締め付けの強いものは避ける。 ・食事: ヨーグルトや納豆などの発酵食品、食物繊維を積極的に摂り、腸内環境を整える(腸と膣の菌叢は連動しています)。 ・睡眠とストレス: 免疫力が低下すると悪玉菌が増殖しやすくなります。十分な睡眠と、ストレスを溜めない生活を。

「おりものが気になって、毎日ビデで洗っていたら余計にひどくなりました。洗いすぎがダメだと知り、専用ソープと週1回の膣洗浄に変えたら、すごく調子が良くなりました」(30歳・事務職)

【受診ガイド】婦人科に行くべき?判断基準と検査内容

セルフケアで改善しない場合や、性感染症が疑われる場合は、必ず婦人科を受診してください。

病院に行くべき明確なサイン

□ 黄緑色のおりものが1週間以上続く。 □ 明らかな悪臭がある。 □ 泡立ったおりものが出る。 □ 下腹部痛や発熱がある。 □ パートナーに性感染症の既往がある、または症状がある。 □ 不特定多数との性交渉があった。

婦人科での検査と治療

検査: – 問診: 症状や性交渉歴などを詳しく伝える。 – おりもの検査(培養検査): おりものを少量採取し、原因となる菌を特定する。痛みはほとんどありません。

治療: – 細菌性膣症: 抗菌薬の内服薬または膣錠。 – トリコモナス・クラミジア・淋菌: それぞれに有効な抗生物質の内服薬。 – 重要: 性感染症の場合は、パートナーも一緒に検査・治療を受ける必要があります。

よくある質問(Q&A)

Q1. かゆみがないなら、放置しても自然に治りますか?

A. 細菌性膣症などの軽いものであれば、体の免疫力で自然に治ることもあります。しかし、クラミジアなどの性感染症は、自然治癒することはほとんどなく、放置すれば不妊などの深刻な事態につながります。自覚症状の有無で自己判断せず、色が明らかにおかしい場合は一度受診するのが最も安全です。

Q2. パートナーにどう伝えればいいですか?

A. 性感染症の可能性がある場合、非常に伝えにくい問題ですが、正直に話すことがお互いの健康を守るために不可欠です。「私も検査を受けるから、あなたも一緒に受けてほしい」「お互いのために、一度しっかり調べておかない?」など、相手を責めずに、二人で乗り越える問題として提案してみましょう。

Q3. ピルを飲んでいると、おりものは変わりますか?

A. ピルを服用すると、ホルモンバランスが安定するため、排卵期のおりものの増加などがなくなり、全体的に量が減ることが多いです。しかし、黄緑色になるのはピルの副作用ではなく、何らかの感染症のサインと考えられます。

まとめ:おりものは健康のバロメーター。色の変化を見逃さないで

黄緑色のおりものは、たとえかゆみがなくても、膣内環境が乱れていることを示す体からの重要なサインです。その原因は、ストレスによる一時的なものから、治療が必要な性感染症まで様々です。

あなたの行動チャート

  1. セルフチェック: おりものの色、におい、形状、その他の症状を確認する。
  2. セルフケアを試す: デリケートゾーンの正しい洗浄を心がけ、生活習慣を見直す。気になる場合は膣洗浄器を試してみる。
  3. 判断基準を確認: 症状が続く、悪化する、性感染症が疑われる場合は、ためらわずに婦人科を受診する。

特に、クラミジアなどの性感染症は、自覚症状がないまま進行し、将来の不妊につながる恐れがあります。少しでも「おかしいな」と感じたら、自分のため、そして大切なパートナーのために、勇気を出して専門医に相談してください。

この記事の内容は一般的な情報提供を目的としています。おりものの異常に関する診断や治療については、必ず産婦人科専門医にご相談ください。自己判断での市販薬の使用は、原因菌を特定できなくしたり、症状を悪化させたりする可能性があるためお勧めしません。

※本記事で紹介した製品の効果には個人差があります。 ※製品を使用する際は、必ず説明書をよく読み、アレルギー等に注意してください。