「第3の生理用品」として、欧米を中心に急速にユーザーを増やしている「月経ディスク」。月経カップと似ているようで、実は全く違うその構造と使い方に、多くの生理用品ユーザーが注目しています。「月経カップは試したけど挫折した」「タンポンより長時間使えるものがほしい」そんなあなたの悩みを、月経ディスクが解決してくれるかもしれません。
しかし、日本ではまだ情報が少なく、「カップと何が違うの?」「どうやって使うの?」と疑問に思っている方も多いでしょう。今回は、新しい生理用品を常にチェックしている筆者が、実際に月経ディスクと月経カップの両方を使い倒して、その違いと選び方を徹底的に比較・レビューします!
生理用品の使い心地には個人差があります。この記事が、あなたにとって最適な生理用品を見つけるための、信頼できるガイドとなれば幸いです。
月経ディスクとは?月経カップとの根本的な違い
まず、月経ディスクがどのようなもので、月経カップとどう違うのか、その基本構造から見ていきましょう。
装着場所と仕組みの違い
最大の違いは、膣内のどこに装着するか、そしてどうやって経血を溜めるかです。
・月経カップ: – 装着場所: 膣の中間あたり。 – 仕組み: 膣壁に「密着」させて真空状態に近い形を作り、カップの中に経血を溜める。 – 形状: 釣鐘型。
・月経ディスク: – 装着場所: 膣の一番奥、子宮頸部の下にある「膣円蓋(ちつえんがい)」と呼ばれるスペース。 – 仕組み: 恥骨の裏にリム(縁)を「引っ掛けて」固定し、柔らかいフィルム部分で経血を受け止める。 – 形状: 平たい円盤状。
ポイント:カップは「吸引力」で、ディスクは「引っ掛かり」で固定します。この違いが、使い心地やメリット・デメリットの全てに関わってきます。
一目でわかる!月経ディスク vs 月経カップ 比較表
項目 | 月経ディスク | 月経カップ |
---|---|---|
装着場所 | 膣円蓋(奥) | 膣内(中間) |
固定方法 | 恥骨に引っ掛ける | 膣壁に密着(吸引) |
圧迫感 | ほぼ無し | 感じる人もいる |
装着したままの性交 | 可能 | 不可能 |
自動排出機能 | あり(オートダンプ) | なし |
取り出しやすさ | 慣れが必要 | 比較的簡単 |
容量 | 多い(30〜70ml) | 普通(20〜40ml) |
IUDとの併用 | 推奨 | 非推奨(吸引力で抜けるリスク) |
【リアルレビュー】実際に使って分かったメリット・デメリット
筆者が数ヶ月間、両製品を使い込んだからこそ分かった、リアルな使用感をお伝えします。
月経ディスクのすごいメリット
1. 装着感がゼロ! 膣円蓋には神経が少ないため、正しく装着できれば本当に「何も入っていない」感覚です。月経カップ特有の圧迫感や、膀胱が押される感じが苦手だった私には衝撃でした。
2. 装着したままセックスが可能! 膣内を塞がないため、パートナーも気づかないほど自然なセックスが可能です。これは月経カップにはない、月経ディスク最大のメリットと言えるでしょう。
3. 驚きの「自動排出(オートダンプ)」機能 トイレでいきむと、恥骨の引っ掛かりが一時的に外れて、溜まった経血が排出されます。立ち上がると自然に元の位置に戻るため、外出先でわざわざ取り出さなくても、ある程度経血を捨てることができるのです。これは革命的!
4. IUD(子宮内避妊具)と併用できる 月経カップは吸引力で固定するため、取り出す際にIUDの紐を引っ掛けて抜けてしまうリスクがありました。ディスクは吸引力を使わないため、IUDユーザーでも安心して使えます。
月経ディスクの正直なデメリット
1. 取り出しが「ホラー」になる可能性 慣れるまでは、取り出す際に指やトイレが経血で汚れやすいです。特に最初の数回は、お風呂場での取り出しを強く推奨します。指でリムを引っ掛けて、水平に保ったまま引き出すのがコツですが、これが難しい!
2. サイズ選びがほぼ一択 月経カップのように様々なサイズ展開がなく、ほとんどがフリーサイズです。子宮頸部までの長さ(膣の長さ)が極端に短い「低めの子宮頸(ローサービックス)」の方は、うまく収まらない可能性があります。
3. 漏れる時は「ドバッ」と漏れる オートダンプ機能が意図せず作動したり(咳やくしゃみ、激しい運動)、うまく装着できていないと、一気に経血が漏れることがあります。慣れるまではナプキンや吸水ショーツとの併用が安心です。
筆者の結論: 月経カップの圧迫感が苦手で、セックスも楽しみたい私にとっては、月経ディスクは「生理用品の最終形態」だと感じました。取り出しの難しさは、数回の練習で克服可能です。今はもうカップには戻れません!
【図解】月経ディスクの使い方マスター講座
写真やイラストを交えながら、挿入から取り出しまでの手順を詳しく解説します。
挿入方法:ポイントは「奥へ、下へ」
- 手を洗う: 清潔な手で行います。
- ディスクを潰す: 親指と人差し指でリムをぎゅっと潰し、数字の「8」の形にします。
- 挿入する: リラックスした体勢(スクワットや片足を上げる)で、潰したディスクを膣内に挿入します。ポイントは、タンポンのように上に向かうのではなく、尾てい骨に向かって水平に、奥へ奥へと押し込むことです。
- リムを押し上げる: ディスクが奥まで入ったら、最後に指でリムの先端をぐっと押し上げ、恥骨の裏側に「カチッ」と引っ掛けます。
取り出し方法:落ち着いて、お風呂場推奨!
- 手を洗う:
- リラックスした体勢: トイレに座るか、お風呂場でスクワットの体勢になります。
- 指を挿入: 人差し指を膣内に挿入し、フックのように曲げてディスクのリムを探します。
- 引っ掛けて引き出す: リムに指を引っ掛けたら、床と水平になるように意識しながら、ゆっくりと引き出します。傾けると中身がこぼれるので注意!
- 洗浄: 中身をトイレに流し、デリケートゾーン用ソープなどで洗浄します。
取り出しのコツは、いきんでディスクを少し下にずらしてから指を引っ掛けること。どうしても取り出せない場合は、パニックにならず、30分ほどリラックスしてから再挑戦してみてください。必ず取り出せます。
【2025年版】おすすめ月経ディスク5選|初心者向けから大容量まで
日本で購入可能な、人気の月経ディスクを厳選してご紹介します。
1. Nixit(ニキシット) ・特徴: カナダ発。非常に柔らかい医療用シリコーンで、初心者でも挿入しやすい。リムが二重構造で漏れにくい。 ・こんな人に: 初めて月経ディスクを使う方、柔らかい使い心地を求める方。 ・価格: 約6,000円
2. Cora Disc(コーラディスク) ・特徴: 指を引っ掛けやすい「フィンガータブ」が付いており、取り出しが比較的簡単。 ・こんな人に: 取り出しの難しさが不安な方。 ・価格: 約5,500円
3. Ziggy Cup 2(ジギーカップ2) ・特徴: スウェーデンのINTIMINA社製。薄くて体にフィットしやすい。AとBの2サイズ展開がある。 ・こんな人に: 「低めの子宮頸(ローサービックス)」かもしれない方(Aサイズ推奨)。 ・価格: 約5,000円
4. Hello Disc(ハローディスク) ・特徴: 特許取得の「ループタブ」が画期的。この輪っかを引っ張るだけで、タンポンのように簡単に取り出せる。 ・こんな人に: 取り出しを絶対に失敗したくない方、初心者。 ・価格: 約6,000円
5. Flex Disc(フレックスディスク) ・特徴: 使い捨てタイプの月経ディスク。煮沸消毒が不要で、旅行などに便利。 ・こんな人に: まずは試してみたい方、衛生面が気になる方、旅行用。 ・価格: 12個入り 約3,000円
月経ディスクに関するよくある質問(Q&A)
Q1. 漏れませんか?
A. 正しく装着できていれば、月経カップ以上に漏れにくいと感じます。漏れる主な原因は、①恥骨にしっかり引っかかっていない、②子宮頸部がディスクの中に収まっていない、の2つです。装着後に指で確認する習慣をつけましょう。
Q2. 運動しても大丈夫?
A. はい、ヨガやランニング、水泳など、激しい運動をしても全く問題ありません。膣壁に圧力をかけないため、月経カップより違和感が少ないです。ただし、腹圧が強くかかる筋トレなどでは、オートダンプが起こる可能性はあります。
Q3. サイズ選びはどうすればいいですか?
A. ほとんどのディスクはフリーサイズ設計です。まずは標準的なサイズ(NixitやCoraなど)を試してみるのが良いでしょう。自分の子宮頸部までの長さが指の第二関節より短い(約5cm以下)場合は、「低めの子宮頸」の可能性があるため、Ziggy Cup 2のAサイズなど、小さめのものを検討すると良いかもしれません。
Q4. お手入れ方法は?
A. 基本的に月経カップと同じです。生理期間中は、取り出すたびに水やデリケートゾーン用ソープで洗浄します。生理が終わったら、煮沸消毒(鍋で5〜10分)または専用の洗浄カップを使って電子レンジで消毒し、通気性の良い袋に入れて保管します。
Q5. 本当にセックスしても大丈夫?パートナーにバレませんか?
A. はい、大丈夫です。ディスクは膣の奥に収まるため、ペニスの挿入を妨げません。筆者の経験では、パートナーは全く気づきませんでした。ただし、念のため事前にパートナーに伝えておくと、お互いに安心できるでしょう。
まとめ:月経ディスクは、生理の概念を変えるゲームチェンジャー
月経ディスクは、まだ日本では馴染みが薄いですが、一度その快適さを知ると、もう他の生理用品には戻れないほどの革命的なアイテムです。
月経ディスクは、こんなあなたにおすすめ ・月経カップの圧迫感や残尿感が苦手だった。 ・生理中でもセックスを楽しみたい。 ・IUDを装着している。 ・経血量が多く、長時間の安心感がほしい。 ・新しいもの好きで、生理をアップデートしたい。
確かに、取り出しには少し練習が必要です。しかし、そのハードルを乗り越えた先には、「生理であることを忘れる」ほどの自由で快適な毎日が待っています。
もう生理を理由に、旅行やデート、スポーツを諦める必要はありません。この記事を参考に、あなたも新しい生理ケアの世界に一歩踏み出してみませんか?
この記事の内容は一般的な情報提供を目的としています。生理用品の使用感には個人差があります。使用中に強い痛みや異常を感じた場合は、直ちに使用を中止し、産婦人科医にご相談ください。
※本記事で紹介した製品の効果や使用感には個人差があります。 ※製品を使用する際は、必ず付属の説明書をよく読んでから使用してください。