PMSで仕事を休んでしまう…低用量ピルで変わる?
「生理前になると、体がだるくて仕事に集中できない」 「イライラが止まらず、職場の人に当たってしまいそうになる」 「頭痛や腹痛がひどくて、毎月のように仕事を休んでしまう」
こんな悩みを抱えていませんか?
生理前に心身の不調が現れるPMS(月経前症候群)は、多くの女性が経験する症状です。しかし、その程度は人によってさまざまで、中には仕事に支障が出るほど重い症状に苦しんでいる方もいます。
「毎月休むなんて、怠けていると思われるのでは」「周りに迷惑をかけて申し訳ない」——そんな罪悪感を抱えながら、つらい症状に耐えている方も少なくありません。
でも、PMSは「気のせい」でも「根性でどうにかなる」ものでもありません。そして、低用量ピルをはじめとする治療法で、症状を和らげることができる可能性があります。
この記事では、PMSで仕事を休んでしまう方に向けて、低用量ピルの効果、始め方、そして職場での対処法まで詳しく解説します。あなたが毎月の苦しみから解放されるためのヒントをお届けします。
この記事でわかること
・PMSの症状と、仕事に支障が出る理由
・低用量ピルがPMSに効果がある仕組み
・低用量ピルの種類と選び方
・副作用と注意点
・婦人科受診とオンライン診療の比較
・PMSで仕事を休むときの職場への伝え方
PMSとは?仕事に支障が出るほどの症状
まずは、PMSについて正しく理解しましょう。
PMSの主な症状と原因
PMS(Premenstrual Syndrome:月経前症候群)とは、生理の3〜10日前から現れ、生理が始まると軽快または消失する、心身のさまざまな不調のことです。
PMSの主な症状
身体的症状
・頭痛、腹痛、腰痛
・乳房の張り、むくみ
・倦怠感、疲れやすさ
・眠気、または不眠
・食欲の変化(過食または食欲不振)
精神的症状
・イライラ、怒りっぽくなる
・落ち込み、涙もろくなる
・不安感、緊張感
・集中力の低下
・やる気が出ない
PMSの原因は完全には解明されていませんが、生理周期に伴うホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)の変動が、脳内の神経伝達物質に影響を与えることが関係していると考えられています。
PMSで仕事を休む人は意外と多い
「PMSで仕事を休むなんて、甘えなのでは」と自分を責めている方もいるかもしれません。しかし、PMSで仕事に支障が出ている女性は、実は少なくありません。
ある調査によると、PMSの症状がある女性のうち、約20〜30%が仕事や日常生活に支障をきたすほどの重い症状を経験しているとされています。また、PMSによる労働生産性の低下は、社会的にも大きな問題として認識されるようになってきました。
PMSの中でも、特に精神症状が重く、日常生活に著しい支障をきたす場合は「PMDD(月経前不快気分障害)」と呼ばれ、より専門的な治療が必要になることもあります。症状がつらい場合は、我慢せず医療機関を受診しましょう。
「気のせい」「怠け」ではない、れっきとした症状
PMSは、ホルモン変動に伴う生理的な反応であり、「気のせい」や「怠け」ではありません。
残念ながら、PMSへの理解はまだ十分とは言えず、「生理前くらいで休むなんて」という声に傷つく方もいるでしょう。しかし、PMSはれっきとした症状であり、治療によって改善できる可能性があるものです。
自分を責める必要はありません。まずは、「自分の体に起きていることを理解し、対策を取る」という視点を持つことが大切です。
低用量ピルはPMSに効果がある?
低用量ピルは、避妊目的だけでなく、PMSの治療にも使われることがあります。その仕組みと効果を見ていきましょう。
低用量ピルの仕組み
低用量ピル(OC:Oral Contraceptives)は、エストロゲンとプロゲステロンという2種類の女性ホルモンを少量含んだ薬です。
毎日服用することで、体内のホルモンバランスが一定に保たれ、排卵が抑制されます。これにより、生理周期に伴うホルモンの急激な変動が抑えられます。
PMSに対する低用量ピルの効果
PMSの原因の一つは、生理周期に伴うホルモンの変動です。低用量ピルを服用することで、このホルモン変動が穏やかになり、PMSの症状が軽減することが期待できます。
| 効果 | 解説 |
|---|---|
| ホルモン変動の安定化 | 生理周期に伴う急激なホルモン変動を抑え、PMSの原因を根本から緩和 |
| 身体症状の軽減 | 頭痛、腹痛、むくみ、乳房の張りなどが軽くなることが多い |
| 精神症状の軽減 | イライラ、落ち込み、不安感などが和らぐ人も |
| 生理痛の軽減 | PMSだけでなく、生理痛も軽くなることが多い |
ただし、低用量ピルの効果には個人差があり、すべての人に効くわけではありません。特に精神症状が主体のPMDDの場合は、低用量ピルだけでは十分な効果が得られず、抗うつ薬(SSRI)などが使われることもあります。
効果が出るまでの期間
低用量ピルを飲み始めてすぐに効果が出るわけではありません。一般的には、2〜3シート(2〜3ヶ月)ほど継続して服用することで、効果を実感できるようになると言われています。
最初の1〜2ヶ月は、体が慣れるまでの期間として、吐き気や不正出血などの副作用が出ることもあります。しかし、多くの場合は続けるうちに落ち着いていきます。
低用量ピルで改善しやすい症状・しにくい症状
低用量ピルは万能ではなく、改善しやすい症状としにくい症状があります。
改善しやすいとされる症状
・身体的症状(頭痛、腹痛、むくみ、乳房の張りなど)
・生理痛
・生理周期の乱れ
改善しにくい場合がある症状
・重度の精神症状(PMDDの場合)
・食欲の変化
・眠気
自分の症状がどのタイプに当てはまるかを把握し、医師に相談することが大切です。
低用量ピルの種類と選び方
低用量ピルにはさまざまな種類があります。PMSの治療に使われることが多いピルについて解説します。
PMSに使われる低用量ピルの種類
低用量ピルは、含まれるホルモンの種類や配合量によって、いくつかの種類に分けられます。
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 第1世代ピル | 古くから使われている。副作用が出やすい場合も。 |
| 第2世代ピル | トリキュラー、アンジュなど。広く使われている。 |
| 第3世代ピル | マーベロンなど。ニキビにも効果があるとされる。 |
| 第4世代ピル(ヤーズ、ヤーズフレックス) | PMSやPMDDへの効果が期待される。保険適用のものもある。 |
特に「ヤーズ」や「ヤーズフレックス」は、PMSやPMDDに対する効果が認められており、月経困難症として保険適用で処方されることもあります。
自分に合うピルを見つけるには
どのピルが自分に合うかは、実際に服用してみないとわからない部分もあります。
・最初は医師と相談して、一般的に使われるピルから試す
・2〜3ヶ月続けて、効果と副作用を確認する
・合わないと感じたら、別の種類に変更を相談する
・自己判断でやめず、必ず医師に相談する
低用量ピルの副作用と注意点
低用量ピルを始める前に、副作用と注意点を理解しておきましょう。
よくある副作用
低用量ピルの服用開始時には、以下のような副作用が出ることがあります。
・吐き気
・頭痛
・乳房の張り
・不正出血
・むくみ
・気分の変化
これらの副作用は、体がピルに慣れるまでの一時的なものであることが多く、1〜2ヶ月で落ち着くケースがほとんどです。
血栓症のリスクについて
低用量ピルの重大な副作用として、血栓症(血管の中に血の塊ができる病気)のリスクがあります。
ただし、血栓症のリスクは非常に低く、適切な問診のもとで処方されれば、過度に心配する必要はありません。以下に該当する方は、服用前に必ず医師に相談してください。
血栓症のリスクが高い方
・35歳以上で1日15本以上喫煙する方
・血栓症の既往歴がある方
・家族に血栓症の方がいる方
・高血圧、糖尿病、肥満の方
・長時間動かない状態が続く方(長距離移動など)
服用できない人・注意が必要な人
以下に該当する方は、低用量ピルを服用できない、または注意が必要な場合があります。
・妊娠中、授乳中の方
・乳がん、子宮がんの既往がある方
・肝機能障害のある方
・原因不明の不正出血がある方
・前兆を伴う片頭痛がある方
該当するかどうか不安な場合は、医師に相談しましょう。
低用量ピルの始め方|婦人科 vs オンライン診療
低用量ピルを始めるには、医師の処方が必要です。婦人科で直接診察を受ける方法と、オンライン診療を利用する方法があります。
婦人科で処方してもらう場合
婦人科を受診して処方してもらう場合、以下のような流れになります。
婦人科受診の流れ
1. 婦人科を予約・受診
2. 問診、内診(必要に応じて)
3. 血液検査(必要に応じて)
4. ピルの処方
5. 定期的な通院(3ヶ月〜6ヶ月ごと)
メリットは、医師に直接相談でき、内診や検査で他の婦人科疾患のチェックもできること。デメリットは、通院の時間や手間がかかること、内診への抵抗感がある方にはハードルが高いことです。
オンライン診療で処方してもらう場合
近年、オンライン診療で低用量ピルを処方してもらえるサービスが増えています。
オンライン診療の流れ
1. オンライン診療サービスに登録
2. Web問診に回答
3. オンライン(ビデオ通話またはチャット)で医師の診察
4. 処方が決まれば、自宅にピルが届く
5. 定期的にオンラインで診察(必要に応じて)
メリットは、自宅で完結するため通院の手間がないこと、内診がないため心理的ハードルが低いこと。デメリットは、対面での内診や検査ができないため、他の婦人科疾患の発見が遅れる可能性があることです。
オンライン診療は便利ですが、定期的な婦人科検診(子宮頸がん検診など)は別途受けることをおすすめします。
エニピルは、オンライン診療で低用量ピルを処方してもらえるサービスです。予約不要で、LINEで診療予約から問診、診察、処方まで完結。最短翌日に届くスピード配送も魅力です。PMSや生理痛に悩んでいるけれど、婦人科に行く時間がない方、内診に抵抗がある方におすすめです。
ルナルナおくすり便は、生理管理アプリ「ルナルナ」と連携したオンライン診療サービスです。普段からルナルナを使っている方は、アプリ上の生理記録データを活用してスムーズに診察を受けられます。低用量ピルの処方から配送まで、アプリで完結できる手軽さが魅力です。
PMSで仕事を休むときの対処法
低用量ピルを始めても、すぐに症状がなくなるわけではありません。また、ピルを飲んでいても、調子が悪い日はあるでしょう。PMSで仕事を休む際の対処法についてもお伝えします。
職場への伝え方
PMSで仕事を休む場合、職場にどう伝えるかは悩ましい問題です。
伝え方の例
詳しく説明したくない場合
「体調不良のためお休みをいただきます」
「持病の治療中で、定期的に体調を崩すことがあります」
理解を求めたい場合
「月経に関連した症状で、毎月一定の時期に体調が悪くなることがあります。通院して治療中ですが、どうしてもつらいときはお休みをいただくことがあるかもしれません」
PMSについて詳しく説明する必要はありませんが、信頼できる上司や人事担当者には、ある程度伝えておくと配慮してもらいやすくなることもあります。
休む以外の選択肢(在宅勤務、時差出勤など)
職場によっては、完全に休む以外の選択肢もあるかもしれません。
・在宅勤務(テレワーク)を活用する
・フレックスタイム制度を利用して、体調が良い時間帯に働く
・半休を取得して、午後から出勤する
・生理休暇(導入している会社の場合)を利用する
制度として整備されていなくても、上司に相談することで柔軟に対応してもらえる場合もあります。
PMSと上手に付き合うセルフケア
低用量ピル以外にも、日常生活でできるセルフケアがあります。
・バランスの良い食事を心がける
・カフェイン、アルコール、塩分を控える
・軽い運動(ウォーキング、ヨガなど)を取り入れる
・十分な睡眠を取る
・ストレスをためない工夫をする
・PMS期間中は予定を詰め込みすぎない
よくある質問(FAQ)
A. 完全になくなるとは限りません。多くの方で症状が軽くなりますが、効果には個人差があります。また、精神症状が主体のPMDDの場合は、低用量ピルだけでは十分でないこともあります。
A. 妊娠を希望するまで、または閉経まで飲み続けることができます。定期的に医師の診察を受けながら、継続するかどうかを判断します。
A. 低用量ピルで体重が増えるという明確な医学的根拠はありません。ただし、むくみや食欲の変化を感じる方もいます。気になる場合は医師に相談してください。
A. きちんとした問診と診察を行っているサービスであれば、基本的には安全です。ただし、オンラインでは内診や血液検査ができないため、定期的な婦人科検診は別途受けることをおすすめします。
A. いいえ、PMSはホルモン変動による生理的な症状であり、甘えではありません。症状がつらいときは無理をせず、医療機関を受診して適切な治療を受けることが大切です。
まとめ|PMSで仕事を諦めなくていい
この記事では、PMSで仕事を休んでしまう悩みに対して、低用量ピルの効果、始め方、そして職場での対処法について解説してきました。
記事のポイントまとめ
・PMSは「甘え」ではなく、ホルモン変動による生理的な症状
・低用量ピルはホルモン変動を抑え、PMS症状を緩和する効果が期待できる
・効果が出るまで2〜3ヶ月かかることが多い
・婦人科受診が難しい場合は、オンライン診療という選択肢も
・職場への伝え方やセルフケアも大切
毎月のPMSに苦しみ、仕事を休んでしまう自分を責めているあなた。その苦しみは、治療によって和らげることができるかもしれません。
「仕事に支障が出るほどつらい」と感じているなら、それは十分に医療機関を受診する理由になります。我慢し続けるのではなく、まずは医師に相談してみてください。
低用量ピルを試してみることで、「毎月あんなにつらかったのに、今は普通に過ごせている」という未来が待っているかもしれません。
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この記事の情報は2025年11月時点のものです。低用量ピルは医師の処方が必要な医薬品です。服用を検討される方は、必ず医師にご相談ください。症状がつらい場合や、PMDDが疑われる場合は、専門医の受診をおすすめします。
