クラミジアを放置すると不妊になる?その不安、放置しないでください
「クラミジアを放置すると不妊になるって本当?」
そんな不安を抱えてこのページを開いたあなたへ。まず伝えたいのは、その不安を感じていること自体が、とても大切な第一歩だということです。
クラミジア感染症は、日本で最も多い性感染症の一つです。そして厄介なことに、感染しても症状がほとんど出ないケースが多く、知らないうちに放置してしまう人が少なくありません。その結果、将来の妊娠に影響が出てしまうことがあります。
でも、だからといって必要以上に怖がる必要はありません。クラミジアは早期に発見して適切に治療すれば、完治できる感染症です。そして、治療後に妊娠・出産している方もたくさんいます。
この記事では、クラミジアと不妊の関係について医学的な根拠をもとに解説し、あなたが今すぐ取るべき行動を具体的にお伝えします。
この記事でわかること
・クラミジアを放置すると不妊になる理由とメカニズム
・不妊以外に起こりうる健康リスク
・感染から不妊に至る確率(データに基づく解説)
・今すぐ検査を受ける方法と選択肢
・治療後の妊娠可能性と具体的な妊活ステップ
クラミジアと不妊の関係|なぜ放置が危険なのか
まずは、クラミジアがどのような感染症で、なぜ不妊につながる可能性があるのかを正しく理解しましょう。
クラミジアとは?感染経路と症状の特徴
クラミジア感染症は、「クラミジア・トラコマティス」という細菌によって引き起こされる性感染症です。主に性行為(膣性交・口腔性交・肛門性交)によって感染し、感染部位は性器だけでなく、咽頭(のど)や直腸にも及ぶことがあります。
日本では、性感染症の中で最も報告数が多く、特に10代後半から20代の若い世代での感染が目立ちます。厚生労働省の統計によると、クラミジア感染症の報告数は年間約25,000件にのぼりますが、無症状の感染者を含めると実際の感染者数はさらに多いと推定されています。
なぜクラミジアは「サイレント・インフェクション」と呼ばれるのか
クラミジア感染症の最大の特徴は、感染しても自覚症状がほとんどないことです。このため「サイレント・インフェクション(静かな感染)」とも呼ばれています。
| 性別 | 無症状の割合 |
|---|---|
| 女性 | 約70〜80%が無症状 |
| 男性 | 約50%が無症状 |
女性の場合、感染しても70〜80%は症状が出ないとされています。症状が出る場合でも、おりものの増加や軽い下腹部痛程度で、「生理前の不調かな」と見過ごしてしまうことが多いのです。
この「症状がない」という特徴が、放置につながりやすい最大の原因です。症状がないから大丈夫だろう、と思っている間に、感染は体の奥へと進行していきます。
女性の不妊につながるメカニズム
では、なぜクラミジアを放置すると不妊につながるのでしょうか。そのメカニズムを段階的に説明します。
クラミジアが不妊を引き起こす流れ
1. 子宮頸管への感染
↓ 放置すると上行感染
2. 子宮内膜への感染(子宮内膜炎)
↓ さらに進行
3. 卵管への感染(卵管炎)
↓ 炎症による組織の損傷
4. 卵管の癒着・閉塞
↓
5. 卵子と精子が出会えない → 不妊
卵管は、卵巣から排出された卵子を子宮へ運ぶ「通り道」です。クラミジア感染による炎症が卵管に及ぶと、卵管の内側が傷つき、癒着(くっついてしまうこと)や閉塞(詰まってしまうこと)が起こります。
卵管が詰まると、卵子と精子が出会うことができなくなり、自然妊娠が難しくなります。これが「卵管性不妊」と呼ばれる状態です。
女性の不妊原因のうち、卵管因子(卵管の問題)は約25〜35%を占めるとされています。そして卵管性不妊の原因の多くが、過去のクラミジア感染によるものです。
男性不妊への影響も見逃せない
クラミジアと不妊の関係は、女性だけの問題ではありません。男性がクラミジアに感染した場合も、不妊につながるリスクがあります。
男性の場合、クラミジア感染が尿道から精巣上体(副睾丸)に広がると、精巣上体炎を引き起こします。この炎症が精子の通り道を塞いでしまうと、精子が射精時に出てこなくなる「閉塞性無精子症」の原因となることがあります。
また、炎症によって精子の運動率や形態に悪影響が出る可能性も指摘されています。
妊活を考えているカップルは、女性だけでなく男性も一緒にクラミジア検査を受けることが重要です。
クラミジアを放置するとどうなる?不妊以外のリスク
クラミジアを放置した場合、不妊以外にもさまざまな健康リスクがあります。
骨盤内炎症性疾患(PID)の発症リスク
骨盤内炎症性疾患(PID:Pelvic Inflammatory Disease)は、子宮、卵管、卵巣などの骨盤内臓器に炎症が広がる病気です。クラミジア感染を放置した女性の10〜15%がPIDを発症するとされています。
PIDを発症すると、発熱、下腹部痛、性交時痛などの症状が現れます。そして、PIDを経験した女性は、卵管性不妊や子宮外妊娠のリスクが大幅に高まります。
子宮外妊娠のリスク増加
クラミジア感染による卵管の損傷は、子宮外妊娠(異所性妊娠)のリスクも高めます。
通常、受精卵は卵管を通って子宮に到達し、そこで着床します。しかし、卵管が損傷していると、受精卵が子宮にたどり着けず、卵管の中で着床してしまうことがあります。これが子宮外妊娠です。
子宮外妊娠は、放置すると卵管破裂を起こし、大量出血による命の危険もある緊急事態です。過去にクラミジア感染歴がある女性は、子宮外妊娠のリスクが約3〜5倍になるという報告もあります。
慢性的な骨盤痛
クラミジア感染による炎症が治まった後も、骨盤内に癒着が残り、慢性的な骨盤痛に悩まされるケースがあります。この痛みは数年にわたって続くこともあり、日常生活に支障をきたすこともあります。
パートナーへの感染拡大
クラミジアは性行為によって簡単に感染します。自分が感染していることに気づかないまま、パートナーに感染させてしまうリスクがあります。
特に、妊活中のカップルの場合、互いに感染させ合う「ピンポン感染」が起こりやすく、片方だけ治療しても再感染してしまうことがあります。
クラミジアの治療は、必ずパートナーと同時に行うことが鉄則です。
【データで見る】クラミジア放置と不妊の確率
「クラミジアを放置したら、どのくらいの確率で不妊になるの?」という疑問にお答えします。
感染から不妊に至る確率
クラミジア感染を放置した場合、すべての人が不妊になるわけではありません。しかし、放置期間が長くなるほど、不妊リスクは確実に高まります。
| 状況 | 不妊リスク |
|---|---|
| 1回のPID発症後 | 約8〜10%が卵管性不妊に |
| 2回のPID発症後 | 約20〜25%が卵管性不妊に |
| 3回以上のPID発症後 | 約40〜50%が卵管性不妊に |
つまり、クラミジア感染を放置して骨盤内炎症性疾患(PID)を繰り返すほど、卵管へのダメージは蓄積され、不妊になる確率は大幅に上昇します。
治療後の妊娠率はどうなる?
一方で、クラミジア感染を早期に発見し、適切に治療した場合は、妊娠への影響を最小限に抑えることができます。
クラミジア自体は抗生物質で完全に治療できます。感染が子宮頸管にとどまっている段階で治療できれば、卵管へのダメージはほとんどなく、その後の妊娠に影響が出る可能性は低いとされています。
早期発見・早期治療がカギ
クラミジア感染から不妊への進行を防ぐ最も確実な方法は、症状がなくても定期的に検査を受け、感染が見つかったらすぐに治療することです。
早期発見・早期治療がカギ
クラミジアは「症状がない」からこそ怖い感染症です。症状がないから大丈夫、ではなく、症状がないからこそ検査で確認する必要があります。
特に以下に当てはまる方は、一度検査を受けることをおすすめします。
・新しいパートナーとの性行為があった
・過去に性病検査を受けたことがない
・妊活を始める予定がある、または妊活中
・おりものの量や色に変化がある
・下腹部に違和感や軽い痛みがある
・パートナーがクラミジアと診断された
自分がクラミジアに感染しているか確認する方法
「もしかしたら感染しているかも」と思ったら、まずは検査を受けることが大切です。検査方法は主に3つあります。
病院で検査を受ける
婦人科、泌尿器科、性感染症科などの医療機関で検査を受けることができます。保険適用になる場合は、3,000円〜5,000円程度で検査可能です。
医師に直接相談できるため、検査だけでなく、症状がある場合はその場で診察・治療を受けられるメリットがあります。
ただし、「病院に行くのは恥ずかしい」「保険証を使うと家族にバレるかも」と感じる方もいるかもしれません。
郵送検査キットを利用する
病院に行く時間がない方、人に知られずに検査したい方には、郵送検査キットがおすすめです。
郵送検査キットは、自宅で自分で検体(尿や膣分泌物)を採取し、検査機関に郵送するシステムです。匿名で検査でき、結果もスマホやPCで確認できるため、プライバシーを守りながら検査を受けられます。
郵送検査キットのメリット
・自宅で簡単に検体採取ができる
・匿名で検査可能(保険証不要)
・コンビニ受け取り・郵便局留めOK
・クラミジア以外の性病もまとめて検査できる
・結果はWebで確認(書類が届かない)
予防会の郵送検査キットは、性感染症専門クリニックが運営する信頼性の高いサービスです。クラミジアをはじめ、淋病・HIV・梅毒など主要な性病を自宅で検査できます。コンビニ受け取りにも対応しており、誰にも知られずに検査可能。万が一陽性だった場合は、提携クリニックでスムーズに治療を受けられます。
保健所の無料検査
全国の保健所では、HIV検査とあわせてクラミジア検査を無料・匿名で受けられるところがあります。費用をかけずに検査したい方にはおすすめですが、検査日時が限られていること、クラミジア検査を実施していない保健所もあることに注意が必要です。
クラミジアの治療と不妊治療の流れ
検査で陽性だった場合、どのような治療を受けることになるのでしょうか。また、すでに卵管に影響が出ている場合の不妊治療についても解説します。
クラミジアの治療方法
クラミジア感染症は、抗生物質(アジスロマイシンやレボフロキサシンなど)で治療します。多くの場合、1週間程度の服薬で完治します。
| 治療薬 | 服用方法 |
|---|---|
| アジスロマイシン | 1回4錠を1日のみ服用(単回投与) |
| レボフロキサシン | 1日1回、7日間服用 |
治療中は性行為を控え、治療終了から3〜4週間後に再検査を受けて、陰性(治癒)を確認することが重要です。
パートナーも同時に検査・治療を受けることが必須です。片方だけ治療しても、再感染してしまいます。
卵管閉塞が見つかった場合の不妊治療
クラミジア感染による卵管閉塞が原因で自然妊娠が難しい場合、不妊治療の選択肢として以下が考えられます。
・卵管形成術(卵管の癒着を剥がす手術)
・体外受精(IVF):卵管を通さずに受精させるため、卵管閉塞があっても妊娠可能
・顕微授精(ICSI):精子を直接卵子に注入する方法
特に、両側の卵管が閉塞している場合は、体外受精が第一選択となることが多いです。体外受精は卵管の状態に関係なく妊娠を目指せるため、卵管性不妊の方にとっては有効な選択肢です。
治療後に妊娠できた事例
クラミジア感染歴があっても、妊娠・出産している方はたくさんいます。
早期に感染を発見して治療した場合は、卵管へのダメージがなく、自然妊娠できるケースがほとんどです。また、卵管に問題が見つかった場合でも、体外受精によって妊娠・出産に成功している方は多くいます。
大切なのは、「感染歴があるからもう妊娠できない」と諦めないことです。まずは検査を受け、現在の状態を正確に把握することが、妊活への第一歩になります。
今からできる3つのアクション
ここまで読んで、「自分も検査を受けた方がいいかも」と感じた方へ。今すぐできる具体的なアクションを3ステップでお伝えします。
ステップ1|まず検査を受ける
最も大切なのは、現在の感染状況を確認することです。過去に検査を受けたことがない方、妊活を考えている方は、まずクラミジア検査を受けましょう。
病院に行く時間がない方は、郵送検査キットが便利です。クラミジアだけでなく、淋病や梅毒などもまとめて検査できるセットを選ぶと、より安心です。
15Check(フィフティーンチェック)は、1回の検査で最大15項目の性感染症をチェックできる郵送検査キットです。クラミジアはもちろん、淋病・HIV・梅毒・トリコモナス・カンジダなど、妊活前に確認しておきたい項目を網羅。オンライン診療との連携もあり、陽性だった場合の治療までワンストップで対応できます。
ステップ2|パートナーと一緒に検査・治療
クラミジアは、パートナーと一緒に検査・治療することが重要です。自分だけ陰性でも、パートナーが感染していれば再感染のリスクがあります。逆に、自分が陽性だった場合は、パートナーにも検査を受けてもらう必要があります。
「言い出しにくい」と感じるかもしれませんが、将来の妊娠のため、そしてお互いの健康のために、正直に話し合うことが大切です。
ステップ3|妊活の準備を始める
検査で陰性だった方、または治療が完了した方は、安心して妊活の準備を始めましょう。
妊活を始めるにあたって、葉酸サプリの摂取が推奨されています。葉酸は胎児の神経管閉鎖障害のリスクを減らすために重要な栄養素で、妊娠の1〜3ヶ月前から摂取を始めることが推奨されています。
出典:厚生労働省「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」
ベルタ葉酸サプリは、妊活中から授乳期まで長く飲み続けられる葉酸サプリです。厚生労働省推奨のモノグルタミン酸型葉酸480μgに加え、鉄分・カルシウム・ビタミン・ミネラルなど妊活に必要な栄養素をバランスよく配合。産婦人科医と管理栄養士が監修しており、多くの妊活中の方に選ばれています。
よくある質問(FAQ)
A. いいえ、必ず不妊になるわけではありません。感染を早期に発見し、適切に治療すれば、妊娠への影響を防ぐことができます。放置して骨盤内炎症性疾患(PID)を繰り返すと不妊リスクが高まりますが、早期治療が鍵です。
A. 意味があります。現在も感染が続いていないか確認することが重要です。また、卵管の状態に不安がある場合は、婦人科で卵管造影検査を受けることで、卵管が通っているか確認できます。
A. 婦人科、泌尿器科、性感染症科などの医療機関、保健所(無料・匿名)、郵送検査キット(自宅で匿名検査可能)で受けられます。
A. 治療終了後、再検査で陰性(治癒)が確認できれば、すぐに妊活を始めることができます。通常、治療終了から3〜4週間後に再検査を行います。
A. クラミジアは症状がないことが多く、「誰かのせい」というわけではありません。将来の妊娠のため、お互いの健康のために、「一緒に検査を受けよう」と伝えることが大切です。どうしても言い出しにくい場合は、郵送検査キットをペアで購入する方法もあります。
A. いいえ、諦める必要はありません。卵管形成術や体外受精(IVF)によって妊娠できる可能性があります。体外受精は卵管を通さずに受精させるため、卵管閉塞があっても妊娠を目指すことができます。
まとめ|「もしかして」と思ったら、今日が行動の日
この記事では、クラミジアを放置すると不妊につながる理由とメカニズム、そして今すぐ取るべき行動について解説してきました。
記事のポイントまとめ
・クラミジアは症状がないことが多く、知らないうちに放置してしまいやすい
・放置すると卵管炎→卵管閉塞→卵管性不妊のリスクがある
・早期発見・早期治療で不妊リスクは大幅に減らせる
・検査は病院、保健所、郵送キットで受けられる
・パートナーと一緒に検査・治療することが重要
・治療後の妊娠は十分に可能
「もしかしたら感染しているかも」「過去に検査を受けたことがない」「妊活を始めたいけど不安」——そんな思いを抱えているなら、まずは検査を受けることが最も大切な一歩です。
検査で陰性なら安心して妊活を始められます。もし陽性だったとしても、早く見つかったことで、将来の不妊リスクを減らすことができます。
不安を抱えたまま過ごすよりも、今日、行動を起こしましょう。あなたの将来のために。
クラミジア感染症の診断・治療、不妊治療については、必ず医師にご相談ください。
