ピルとは、女性ホルモンである卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)を主成分とした経口避妊剤です。
しかし最近では、避妊以外の目的で服用している女性も増えています。たとえば生理前に起こるPMSや生理痛の改善にも、ピルは効果的です。
さらに、ピルを服用すれば「胸が大きくなり、バストアップ効果も期待できる」とされていますが、実際のところはどうなのでしょうか?
ピルで胸が大きくなるとされる理由と注意点について説明しましょう。
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ピルでバストアップできるのは本当なのか?
ピルを飲んだら胸が大きくなるとされるのは、薬によって体の外側から女性ホルモンを補うためです。
ピルに含まれる卵胞ホルモン・黄体ホルは、女性の体からも分泌されているものです。
ピルは、意図的に女性ホルモンを加えることでホルモンバランスを整えて、脳に「妊娠した」という錯覚を起こさせ、避妊効果を発揮する薬なのです。
この女性ホルモンのバランスの変動によって、避妊以外にもさまざまな体の変化が起こります。そのひとつが、「胸が大きくなる」ことなのです。
ピルによる体の変化には個人差があるので、もともとのホルモンバランスによっては胸に変化が起こらないこともあるでしょう。
ピルを飲んで胸が大きくなった場合、生理前に生じる胸が張った状態に近くなります。下着で支えないと垂れてしまうような、脂肪で柔らかいバストではなく、ハリのあるバストになるのが特徴です。
この胸が張った状態を、人によっては胸が大きくなったと捉えることが、ピルによるバストアップの正体なのです。
生理前に胸が張ると、ブラジャーのサイズも変わるという女性も少なくありません。ピルで似た状態になることから、ピルの服用でもブラジャーのサイズが変わることもあり得ます。
一方で、生理前の胸が張った状態が苦手な女性には向いていないといえるでしょう。
ピルで胸が大きくなる期間はどれくらい?
ピルによって女性ホルモンのバランスが整えられると、次第に体の変化が起こりにくくなります。つまり、ピルによって胸が大きくなる期間はある程度限られているということです。
その期間は個人差があるものの、ピルを飲み始めてから1か月~3か月目、長い場合でも6か月目ごろが目安とされています。
シート数でいうと、1シート目から3~6シートあたりです。女性ホルモンのバランスが落ち着くと、次第に胸の張りがなくなっていくことでしょう。
「継続した服用」も効果を維持する条件
もうひとつ、事前に知っておくべきことがあります。それは、「ピルの効果は服用し続けないと消えてしまう」ということです。
ピルは通常、1日1回1錠を同じ時刻に服用することになっています。これを1日のみ忘れたり、大幅に服用時間がずれこんでしまうと、ピルの効果が持続しない可能性があります。つまり、バストアップの期待もできなくなってしまうのです。服用時間については、1~2時間程度のずれであれば問題ないとされていますが、一定時間を超えた服用時間の空きができると効果が消えるおそれがあります。
ピルには服用期間と休薬期間があるため、薬を飲まない期間をしっかり管理することも大切です。
誤って休薬期間を長く取りすぎ、次のシートのピルを飲むのが遅れてしまうと、同じように効果が消えてしまう可能性があります。そのため、初めてピルを飲む場合は休薬期間に飲むためのプラセボ錠がついたタイプを選ぶのがおすすめです。
ピルで胸を大きくしたいときの注意点2つ
ピルを安全に飲むためには、「副作用」と「服用に注意すべき人(禁止されている人)」を知っておきましょう。
ピルの副作用について
ピルで胸が大きくなる状態は、人によっては不快に感じるため、捉え方によっては副作用となります。しかし、これは時間とともに無くなる可能性があるものです。
一方で時間が経っても消えず、むしろ服用のリスクが高まる副作用があります。それが、血栓症です。
ピルの種類によって多少の差がありますが、血栓症が起こる確率は0.1%未満とされています。しかし、症状が起こったら健康に大きな被害を与えるので常に注意しておくことは大切です。
血栓症のリスクがある場合、下半身の急激な痛みや腫れ、激しい頭痛、息切れ、構語障害(ろれつが回らないなど)といった体の変化が起こります。異変を感じたら服用を中止して、必ず医療機関を受診してください。
ピルの服用に注意すべき人(禁止されている人)
血栓症のリスクを考慮して、最初からピルの服用を禁止されている人や慎重に判断すべきとされている人がいます。
たとえば、喫煙は血栓症のリスクを高めるため禁煙後の服用がすすめられています。特に35歳以上で1日15本以上の喫煙者は注意が必要で、服用が禁じられています。
このほか、前兆を伴う片頭痛がある方もピルを飲めません。
肥満の女性や家族に血栓症の方がいる場合は、慎重に服用を決める必要があります。そのほか持病がある方も必ず医師に相談しましょう。
また、低用量ピルは6か月に1度、婦人科で定期検診を受けることが添付文書で義務付けられているので、忘れずに検査を受けてください。基本的には採血や血圧測定など簡単なもので済みますよ。